このまとめを読んで「逃げた人」と聞いて真っ先に連想したのが、CIVILIANの「爽やかな逃走」。
先月に出たシングル「bake no kawa」のカップリング曲だ。
このバンドは元々Lyu:Lyuという名前で活動していた。先月改名したばかりなので、CIVILIANという名前に聞き馴染みがない人もいるかもしれない。
人の心を穿つ歌詞と、誤魔化しのきかないストレートなバンドサウンドが魅力だ。
この「爽やかな逃走」には、逃げる一歩手前の人の心境が歌われている。
逃げるなよって言われて
その通りにしてるのに
それだけじゃ僕に価値など無くて
笑って欲しいから 必死でやってるのに
ああ もう時間だ 今日もまたあそこへ
傷つきに行くのさ あんな腐った場所まで
この歌詞の重さは、このサビに至るまでのメロディを聞いて、自分で追体験しなければ分からない。
いい音楽って、音楽そのものが良いだけではなく、聴き手が自己投影によって、初めて成り立つのかもしれない。
僕もこの曲に歌われているような「逃げた」経験が何度もある。聞いていると当時の心境を思い出しす。
僕が何から逃げたか?それはまあ、色々なことから逃げた。ここには書けないくらいに。
逃げるというのはひどく主観的な行為なので、誰かの正しさによって値踏みされたくない。
そんなデリケートな気持ちを、この曲を通じて改めて確認する。
逃げたことが正解か間違いかは分からないけれど、苦しみもがいていた場所から自分がずいぶん遠くに来たことを実感する。
CIVILIAN(ex.Lyu:Lyu)には「いい音楽」が沢山ある。
そして、そういう相互作用的な「いい音楽」を聴きたいがために、まだなんとかやっていこうとして生きているのかなあ、なんてぼんやりと考えたりする。
あの時逃げなかったら、大好きな音楽に出会わなかったかもしれない。
もしそうならば、逃げるのもなかなか悪くないかなあ。
まあなんにせよ、CIVILIAN、Lyu:Lyuはオススメの音楽です。本当に。