先週、京都に行ったときに、おしゃれで美味しくて爽やかなカフェを見つけた。「金の百合亭」というお店。
丸山公園でミニリュウを乱獲して疲れ果てたあと、疲れが吹き飛ぶくらい美味しい冷やしぜんざいをいただいた。
(収拾がつかないくらい文字だらけなので、食べログを見るのが一番雰囲気をつかみやすいと思う)

- ジャンル:カフェ
- 住所: 京都市東山区祇園町北側292-2 2F
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- (写真提供:レールモントフ)
カフェ 金の百合亭をぐるなびで見る | 祇園のカフェをぐるなびで見る
何よりもまず、店の雰囲気とロケーションが最高だった。
場所は交差点を挟んで八坂神社の向かいにある。人どおりの多いあの商店街の終わりにある建物の2階にある。
上に書いた通り、僕はポケモンGOをプレイしてさんざん歩き回ったあとで、座れるところならばどこでもいいと思いながらこの店を選んだ。古い建物の2階にあるようなカフェなら、まあ観光客も少なかろう、という具合で考えていた。
(2階の店舗前。疲れていて全然気づかなかったけどこの時点でおしゃれだな・・・)
急な階段を上り、店の扉を閉めると、途端に観光地の雑踏の音がすうっと引き潮のように遠ざかる。
中は若々しくモダンなコーディネートの喫茶店だった。
建物と外観やロケーションからは全く想像ができない。
面食らって入口で立ちすくんでしまった。
ぐるりと見渡すと、まず漆喰の白い壁がパッと目を引く。
その壁の眩しい白が吹き抜けの高い天井まで伸びていて、真新しい画用紙の前に立ったような開放感を与えている。
その天井近くではカフェと京町屋の両要素を溶かし込むような、古くて立派な梁がある。
交差点の角の建物ということもあり、フロアは台形のような形をしている。
僕が立っている入口は台形の斜辺側だ。逆側の辺、つまり店の奥のほうにはキッチンとバーカウンターがある。
その間に4人掛けと2人掛けのテーブル席があり、台形の短辺側には窓に面したカウンター席が設けられている。
テーブルもカウンターも、優しい木調だ。
開放感があるから全く気にならなかったけど、比較的こじんまりとした広さのお店だったと思う。
肘がぶつかり合うことこそないものの、誰かが後ろを行き来するときには、椅子を引いてしまいたくなるような広さだ。
白く明るい壁と、落ち着いたモダンな家具。それに、高い天井に古く立派な梁、狭いようで広い店内、そういった要素がくっきりとした濃淡のあるコントラストで「思いがけず」やってくるものだから、僕の中で現実感がじんわりとぼけていくような感じがした。
大きな窓の向こうに八坂神社と石段はっきり見えていなければ、
商店街の一角の古い町屋の2階にいることを忘れてしまいそうになるくらいだ。
さながら陽当たりのいいハイキングコースに面した山小屋に来たような趣がある。
なんというか、宮沢賢治の『注文の多い料理店』を連想してしまう。山に迷い込んだ兵隊が、山の中でレストランを見つけるあの話だ。
もちろん、山猫の料理店と違って「金の百合亭」には怪しさのようなものは微塵もない。
ただ、このカフェに入ったときの「思いがけなさ」が、子供の頃に読んだ童話の世界で味わったワクワク感に似ていたことは間違いない。
手入れもよく行き届いてるいる。言うまでもなく。
オープンして2年とのことだけど、先月改装したばかりと言われても信じちゃいそうだ。掃除が大変なんだろうなあ……
この日は祇園祭の影響もあり、テーブル席も窓側もどれも埋まっていたので、僕はキッチン前のバーカウンター席に案内してもらった。
カウンターの上には世界のお土産物のような見たこともない雑貨と、ステンドグラスのようなガラス細工の小物が並べられていた。どれも、オーナーさんのセンスが感じられて、顔がついほころんでしまう。
カウンターの向こう側、コーヒー作りにつかういろんな器具が整頓されて置かれている。僕はこの手の機材に詳しく無いので、ハリーポッターに出てくるような魔法使いの研究室を思い出していた。
その器具に囲まれて、マスターがひとつひとつ丁寧にコーヒーを入れている。
なんかもう、絵に描いたような喫茶店のマスターさんだった。白いシャツにベストで、寡黙にカッコよかったなあ。
こんなん絶対美味しいに決まってるやんって感じ。
で、メニューを見てみると案の定おいしそうなものしかない。
コーヒーはもちろんのこと、紅茶、御茶菓子、そして今の時期はかき氷や冷やし抹茶系のスイーツもある。女の子受けがよさそう。
どれを頼むかなかなか決められなかった。コーヒーの香ばしさが目の前から漂ってくるからなおのこと。
散々迷った結果、今回は「スペシャル冷やしぜんざい」を選ぶことにした。
コーヒーは好きなんだけど、体質的にカフェインがダメでほとんど飲むことができない。
泣く泣く諦めた僕の代わりに、どなたかの感想をまた読んでみたいと思った。
手前側が抹茶アイスと白玉のぜんざい、緑茶。奥にあるのは生麩の乗った抹茶ゼリーと、抹茶のシフォンケーキ。口直しの塩昆布もついてくる。
それはもうとても美味しかった。
本当においしいデザートメニューとは、甘さだけを楽しむのではなく、甘さとともに広がる味を楽しむものなんですね。
これほど甘いもの尽くしのメニューであるにも関わらず、全て違ったベクトルの甘味を持っていて、お互いをつぶしあうことが無い。
冷やしぜんざいが脳を突き抜けるような甘さだとしたら、シフォンケーキは歯触りと合わさって分かるやわらかいした甘さで、抹茶ゼリーは鼻孔を刺激する風味と頬の裏で感じる甘さというか・・・この辺はもう僕では伝えることができない気がしてしまう。
甘さで甘さを口直しできるくらい、それぞれが独特の個性を持っている。
それぞれに食感の違う食べ物が使われてるところも面白かった。
生麩や白玉のすべすべ且つもちもちとした感触や、シフォンケーキのふわふわした食感など。
僕たちの口が感じる感触には言葉が追い付かないほどの種類があって、それが味覚や嗅覚とタッグを組むと手につかないことになる。
味に溺れていた人のために用意されているかのような、塩昆布や緑茶の存在がまた絶妙だった。
塩味や渋みがこれほど甘さにぴったりあうのだから、人間の味覚ってなんだか出来すぎているような気がしてしまう。
量もちょうどよくって甘さで胸焼けを起こすこともなく、気持ちよく食べることができた。
歩き回った疲れを追いやってくれる心地のよい満腹感だった。美味しかった。
住んでいるところから京都までが遠いので、なかなか行く機会は少ないと思うけど、
次に京都に寄る機会があればまた利用したくなるお店でした。
ついでだから、ポケモンの記事で貼れなかった写真なども載せる。
この日は馬がいた。祇園祭関係だろうか?
涼しくなったらまた京都に行ってみたい。
このお店でランチを食べて八坂神社をお参りし、そのあとで哲学の道から銀閣寺をめぐるような歩き方とか。
そのころにはポケモンブームもだいぶ落ち着いていそうですね。