高校1年生の時、生まれて初めて美容室に行った日のことを今でも覚えている。
初美容室
脱オタクファッションガイドを読み漁り
ポルノグラフィティのボーカル、岡野昭仁氏のライブ映像を印刷し、
ホットペーパービューティか何かを調べまくってどきどきしながら電話予約を入れた。
オーガニックな雰囲気のおしゃれな空間、待合椅子に座るだけでお茶が貰えるおもてなし感、
全てが高校生には刺激がキツかった。
ヘアカットを担当するお兄さんに、ポルノグラフィティが好きだと熱く語り、B'zの松本とどっちがギター上手いのー?なんた意地悪な話をされたっけ。
あの衝撃的なうしろリクライニングの椅子、なぜか渡される手ぬぐい。
マッサージオプション、眉毛の調整。
たくさんのイケメンがドヤ顔で僕をカッコよくメイクアップしてくれるあの場は、脱オタを阻む関門だと思う。
最近はマシ
まあそこから僕も10年経ち、さすがに美容室に予約してるだけで緊張することもなくなった。
案内した席に置かれた雑誌はファインボーイズであることもなくなった。メンズノンノすらない。
オシャレ家具特集やガジェット系の雑誌になった。
髪型もここんところはワンパターン。量を減らせスッキリさせろの二言で済む。
あとはボーッとしてれば気持ちよくイケメン爽やかヘアーが出来上がり。(出来上がらない)
サンキュー。
なんて、上手くいかないから美容室は困る。
なぜ彼女たちはあんなにも話しかけてくるのか。なぜ、すぐ沈黙するのか、なぜ他の席はあんなに、あんなに、なぜ僕の席はあんなに黙るの、なぜ。
この日の担当の美容師さんは頑張っていたと思う。
僕が選んだガジェット本に乗っていたルンバの話題から話を広げ
「amazonつかいますかー?タブレット!いいですよねー!へー、電子書籍、!動画見放題とか便利ですよねー!
あ、ペットもいいですよね!猫?いいですねー、でもわたしは友達がうさぎ飼っててー」
と会話があらぬ方向に上滑りさせながらも、
なんとなお互いになんとかコケないでフィニッシュができた。
話題が合わなさすぎて次々と変わる会話ってあんなにしんどいのか。
お会計の時に「すいません、炭酸シャワーマッサージが追加になってまして、¥1000追加になります」
と切り出された。
いいよいいよもう。
たった一度だけ盛り上がった思い出
美容室といえば、一度だけ会話の内容がパーフェクトにハマったアシスタントさんに切ってもらったことがある。
その日は縮毛矯正のモデルで、女の子のお店の営業後に2人きりでダラダラ話しながら施術してもらった。
僕がギターをやっていることを話したら、なんとそのアシスタントさんもドラムをやっていたという。好きなバンドはバンプオブチキン、同世代なら必ず通るバンドで、且つお互いがそこそこディープなファンなものだからめちゃくちゃ話が盛り上がった。
終わったら飲みに行こうと言わんばかりの会話だった。
ただね、僕はメガネっ子なので、施術中の女の子がどんな顔かも分かってなかったんだよね。いざ終わってみると、どうも方向性が違いそうということで結局その日の飲みの話は流れてしまった。
千円オプションが欲しい
とまあ、こういう気まずい空気やほんの少しの出会いの希望を持ってしまうので、全国の美容室が
「+¥1000 で施術以外の会話無し!お静かにネット、読書をお楽しみください」
みたいなコースを作ってくれたらなあと細々と願っている。
やっぱり気まずいからダメなんですかね?