パナマ文書がハンパないらしい。
節税しまくってた人たちの黒乳首が晒されまくっているそうだ。
その情報量は数テラバイト、数十年分に渡り、今も世界中のジャーナリストが調べまくっている。
あっちの国ではデモが起こり、どっかの国では情報が遮断され、ウチの国でもノーコメントにされた。
世界中が知りたかった闇が一気に暴かれている。
さて、タイトルにも書いた通りパナマ文書の余波が早々にも僕に襲いかかっている。
僕の業務に大いに差し支えている。
もったいぶるのはやめよう。妄想が止まらない。
そして何より、パナマ文書と僕の生活の間に距離がありすぎるせいで、妄想のスケールが追いつかない。周回遅れにされている。
もちろん、僕の妄想だってヘコタレない。25年乗り回してきてあちこちガタはきている。ずいぶん洗車していにいせいで、窓ガラスには雨粒の跡がこびりついている。ボディのキズを気にすることもやめた。
僕が妄想のキィを回す。クラッチを踏み、ギアを切り替えて、アクセルを踏む。速度計が跳ね上がる。
それでも、僕の妄想はあのイカれた暴露本に追いつかない。暴露された金持ちと違って、僕の資産には車さえ含まれていない。
運転免許すらオートマ限定だ。
僕だって、眉間にしわを寄せながら、パナマ文書の話をしたかった。
「やあ、ジョン。去年の夏のパーティ以来だね。おたくのカミさんは元気かい?また彼女のアップルパイを食べたいんだ。ウソじゃないぜ。
そうそう、あの"週刊誌"の話は聞いたかい?
ああ、月曜日に捨てられていたヤツだ。捨てたイカレポンチはきっと古紙回収の日を知らなかったんだろうな。
ウチの国だったら、今ごろオバさんに八つ裂きにされて、淀リバーに浮かんでるよ。
曽根崎心中とはまさにそういう不法投棄者の話なんだ。知ってるだろ?
実はウチのボスも、この騒動に巻き込まれてるみたいなんだ。流行りに敏感な人だからね。
厳密に言うと顧問のセンセーがノミネートされたんだよ。
直接の顧問、というわけじゃ無いんだが、いくつかクッションを挟んで、ボスと繋がってたんだな。ボスと上層部は一緒にキャンプファイアーする仲だ。
フォークダンス以上の関係があるのは間違いない。
明日か明後日にはバレるだろうね。君に話したのはそういうワケさ。
やれやれだよ。オレには関係ない話だと思いたいけどな。もしかしたらずいぶんと長く電話すらできないかもしれない。
次のリンゴの季節には、アップルパイを食べさせてくれるだろうか?また連絡するよ。」
こういうの、こういうよを実生活でやりたいの。ビックリするほど関係ない。
妄想してもパナマ文書のパの字も出ない。
小さな脳のムダ使い。頭蓋骨の空洞が広がるだけ。
そもそもパナマってどこだろう。僕にはパタヤビーチしか浮かばないんだけど。
ハイ100円…